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(主催)国際医療リスクマネージメント学会

(後援)日本医療安全学会

 


 



   主催者の挨拶

 

医療安全基礎講座2019

 

(日本語社会人教育プログラム)

 

 

全職種参加による医療安全文化の醸成

 

 「人が宝」は全ての人間活動の基本です。このため、国際医療リスクマネージメント学会(IARMM)では、2003年に教育・研究促進のための国際組織として世界健康リスクマネージメントセンターを東京に設立し、健康と安全における対策に関して、様々な社会人国際教育を国内外の方々を対象に国連大学や世界銀行で行ってきました。

 

 2006年度以降に東京大学で開催してきた各種の医療安全教育プログラムでは、日本語社会人教育プログラムにもかかわらず、韓国、台湾などからの参加者も交え、全国各地より多数の方が参加し、いずれも定数オーバーとなりました。2012年には英国ロンドン大学でも医療安全に関する英語の国際セミナーを開催し、世界15か国から参加者に参集いただきました。2008年からは、医療安全の基礎を教えてほしいという日本国内の会員からの強い要望に対応するために、「医療安全基礎講座」を創設しました。

 

10年間にわたって開催してきました東京の地を離れ、今年度は京都大学にて開催いたします。京大病院の松村由美教授の抱負な学識経験と強力なリーダーシップの下で、過去に比類のない斬新なプログラムをお届けすることができ、私も大変楽しみにしています。

 

 

本プログラムには厚労省による医療対策加算(T)の対象となるプログラムの一部を含んでいます。

 

また、医療安全文化の高度な発展には、より高度な知識と機能を有する高度医療安全推進者が不可欠です。そこで、2015年から日本医療安全学会の協力の下、学会認定「高度医療安全推進者」資格制度を開始しており、すでに多数の方が資格を取得されました。本プログラムはこの認定資格取得における必須科目でもあります。

 

超一流の世界に達した人々は皆、「基本がすべて」と申されています。毎年新たな課題も交えた斬新なプログラムである本基礎講座をご堪能ください。

 

 

20192

 

酒井 亮二  国際医療リスクマネージメント学会(IARMM)会長・理事長

主催者一同

 

 

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2019年の本基礎講座のメインテーマは、「全職種参加による医療安全文化の醸成」です。

 医療安全管理の現場で働く職員の一人として感じることは、「患者にとっての利益」を第一に考えるという原則に基づいて、全職員が協力する体制が院内に文化として根付いていることが重要である、ということです。患者にとっての利益とは、患者の苦痛や不安を取り除くことです。治療に反応しない場合や治癒が見込めない疾患も多くありますが、それが達成できなくとも、苦痛や不安を取り除く方向に焦点を当てて、協力することができます。

その医療者の活動の根底にあるのは、医療者や医療スタッフの倫理観です。倫理観に照らし合わせて、自分の行動が倫理的であるかどうかを常に自問自答することが重要になります。患者の利益を大切にすることとは患者の言う通りに従うこととは異なります。患者を尊重し、回避可能な有害リスクにさらさないということも、私たち医療者の務めです。そのためには、リスクが極めて高く、まだ安全性が確立していない医療を、患者が望むからといって提供してはなりません。医療サービスが提供できる段階にあるか否かを決定するのは、プロフェッショナルとしての医療者の責務であって、その判断を患者に委ねてはなりません。

患者を尊重する、ということは簡単なことではありません。それぞれの専門職という立場を超えて、患者を含むすべての関係者と協力することや、患者の安全のためシステム指向の対策や計画を採ることが求められます。前向き指向を持ち、PDCAサイクルをうまく用いた品質管理システムを取り入れることが大切です。一方で、過去から学ぶ姿勢も重要です。医療事故やインシデントから学び、未来を変えていくのです。個人の責任追及や罰する文化は、医療安全(患者安全)を阻害する要因となります。ただし、前提として患者とオープンに話をすることが必要です。結果が悪かったとき、特に、医療事故があったときに、それは辛いことです。そのときに、どうやってふるまうのか、その事実に向き合い、調査し、分析するのか、ということも本講座での重要なテーマです。

本講座では、上記のことについて、各講師から基礎的なことを学ぶ場となっています。この講座を修了され、各受講生が、それぞれの医療現場に文化を持ち帰り、種をまいて、新たな芽を出させて、広めていただく第一歩となることを願っています。

 

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プログラム作成者

松村 由美 京都大学医学部附属病院 医療安全管理部長、教授。 

国際医療リスクマネージメント学会(IARMM)理事、日本医療安全学会(JPSCS)理事

 

 

 

 

 




 



 









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